著者:エイドリアン・ニューウェイ(Adrian Newey)
レースシムに続き、自宅で楽しめる自動車関連書籍や映画についても少しずつ書いていきたいと思います。
<概要>
数々のチャンピオンマシンを設計した天才レーシングカーデザイナー、エイドリアン・ニューウェイの自叙伝です。自ら選んだ代表作11台(以下)が章立てられており、技術的背景・特徴からレース回顧、チームの内情まで語られています。そこに、ニューウェイの生い立ちや私生活の話題も散りばめられた内容です。時系列で書かれているので、彼のキャリアパスや章のタイトルにはなっていない車両についても触れられています。学生時代のやんちゃなエピソードや三度の結婚など意外な側面も垣間見ることができます。所有欲も満たされる立派な造りの本です。

March 83G 
March 86C 
March 881 
FW14 
FW16 
FW18 
MP4-13 
MP4-20 
RB5 
RB6 
RB8
<感想>
車両の解説と自伝的要素がうまくバランスされた良書です。F1好きなら読んで損はありません。歴史に残る名車が、どのような思想で設計されたのか本人が説明しているだけで貴重です。過去資料をあさりながら楽しく読みました。最新マシンになるほど空力処理が複雑になってくるので、難解な部分もありますが、自筆イラストや注釈もあり基本的には専門知識がなくても読めるように平易にかかれています。F1マシンがいかに空力優先で設計されているかが分かりますし、新技術が次々と、しかも超短期間で開発・投入されている様子がよく伝わってきました。F1がモータースポーツの最高峰である理由が再認識できます。エンジニア目線でのドライバー評価や、チーム内外における政治的かけひきの裏側も面白かったです。
現代はエンジニアの役割が細分化されているので、パッケージングからサス、空力まで熟知して設計できる人はほとんどいないと思います。ましてやデザイナーがレースエンジニアまで担当することはトップカテゴリーではあり得ません。どのチームにもテクニカルディレクターはいますが、ニューウェイやロリー・バーンのように設計者として著名になるエンジニアは今後現れないのではないかと思います。彼がどのようなキャリアを経て現在に至ったのかは、エンジニアの端くれとしてとても興味深く刺激になりました。
ちなみに私はオリジナルの英語版を読みました(安いので…)。ところどころ英国特有の表現や難単語に出くわしますが、文学作品のような難解表現はほとんどないので読みやすかったです。大体4-5ページごとに節で区切られていて、少しずつ読み進めることができるので、英語の勉強にも丁度良いと思います。390ページありますが、日本語版は600ページ以上あるようです。一般的に同じ内容を書こうとすると英語の方が長くなるので、何が違うのか気になります。
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